加工しても黄変しないダイコンを開発
:野菜茶業研究所/お茶の水女子大学

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の野菜茶業研究所は9月3日、お茶の水女子大学と共同で、加工しても黄変や、たくあん臭の発生がないダイコンを開発したと発表した。
 このダイコンは、種苗会社などが新品種を開発するのに使う「中間母本(ちゅうかんぼほん)」と呼ばれる育種素材で、正式名称を「だいこん中間母本農5号」という。
 既に品種登録出願済みで、同研究所は「種子の提供依頼があれば研究試料として提供する」といっている。
 ダイコンは、生産量の約6割が加工・業務用に使われ、加工後に生じる黄色色素の蓄積による黄変と、たくあん臭の発生をいかにして防ぐかにどこも手を焼いている。
 その黄変と、たくあん臭は、ダイコンに含まれる「4-メチルチオ-3-ブテニルグルコシノレート(略称:4MTB-GSL)」が酵素によって加水分解され、さらに水と反応するなどして生じることが分かっている。
 野菜茶業研とお茶の水女子大の研究グループは、4MTB-GSLを少ししか含まない「西町理想」という、地方で作られているダイコンに品種改良の基本的な手法である個体選抜を5回繰り返して4MTB-GSLを全く含まないダイコン作りに成功したもので、加工しても黄変もたくあん臭も発生せず、その特性が確実に後代に遺伝することを確認しているという。
 研究グループは、商品化できるようにするため現在、種苗会社と共同で実用的な4MTB-GSL欠失品種の育成に取り掛かっており、「白色で、たくあん臭がしない新しいタイプのたくあん漬や、業務用として長期間冷凍保存しても黄変しない、おろし、切り干しが期待できる」といっている。

詳しくはこちら