(独)農業・食品産業技術総合研究機構の東北農業開発センターは7月20日、市販されている土壌EC(電気伝導度)センサーを用いて、海水につかった農地の塩害の指標となる土壌ECを現場で簡単に知る簡便な測定法を開発したと発表した。 電磁探査装置を使った測定とは異なり、直接土壌の電気伝導度を現場で簡易計測するもので、多数地点の土壌のECの測定ができる。東日本大震災で広く海水に侵された農地の塩害調査や効率的な復旧作業への貢献が期待される。 東日本大震災で津波により東北・太平洋沿岸の農地が大きな被害を受け、土壌調査に基づく除塩作業が進められている。農地の塩害の度合いの指標には、慣行的に塩化物イオン濃度と相関の深い乾土1に対して蒸留水5を加えた懸濁液のECが使われているが、今回のように広い農地の土壌の採取・測定・分析は大仕事となる。 土壌のECを直接測定するセンサーは、市販されているが、土壌の水分や密度で値が変動するなどの理由から農業現場ではあまり使われていないのが現状。そこで今回、農研機構東北農業開発センターは、1万6千円前後の市販の土壌ECセンサーの利用法を検討、塩害農地現場での素早く安定した土壌ECの測定手法を開発した。 調べる土壌は、ビニール袋に採取、手で握りしめた状態でセンサーを挿入する。この際、土壌は手で握って水分を感じるぐらいかペースト状に水分を含む土壌が測定に適している。土壌が乾燥している場合は、蒸留水を加えて測定。土壌ECで得たセンサーの測定値の0.4倍が慣行分析法で農地塩害の指標となる懸濁液EC値に当たるという。 0.4倍という数値は、塩害リスクを見逃さぬよう高めに、また、現場で直感的に計算できる数値として設定されている。
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ビニール袋に採取した土壌を土壌ECセンサーで測定(提供:東北農業研究センター) |
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