「こうのとり」3号機打ち上げに成功
―メダカの水槽や超小型人工衛星など運ぶ
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は7月21日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)を搭載したH-ⅡBロケット3号機を種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)から打ち上げ、予定の高度で「こうのり」を分離することに成功したと発表した。
 国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ機材などを搭載した「こうのとり」は、分離後地球を周回しながら約1週間かけてISSに接近する。ISSには、7月17日にソユーズ宇宙船で到着した星出彰彦飛行士が待ち受けており、星出さんらはロボットアームを操作して「こうのとり」をつかまえてドッキイングする。日本人宇宙飛行士が国産輸送機を宇宙で出迎えるのは、これが初めて。
 「こうのとり」は、直径約4m、全長10m弱のほぼ円筒形で、観光バスが収まる大きさ。今回は、宇宙飛行士の生活物資や補給機材などの他、メダカを長期間飼育する水棲生物実験水槽をはじめとした各種の科学実験機材、宇宙から初めて打ち上げる超小型人工衛星5基とこれらの衛星を放出する装置など、計4.6トンを積載した。
 荷物を下ろし廃棄物に積み替えた後、「こうのとり」はISSから切り離され、地球の大気圏に再突入し、壊れて燃え尽きる。今後の宇宙船の開発に必要な情報を得るため、今回の「こうのとり」には再突入後の破壊・消滅の様子をとらえる「i-BALL」と呼ばれる観測機器が載せてある。直径40cmほどの球体で、内部にカメラや計器類が入っており、破壊が始まると機外に放出され、破片が燃え尽きる様子などをとらえる。
 「こうのとり」は、現在無人の輸送船で使い捨て型だが、将来は回収型への改良も検討されている。取得したデータは、そうした検討に役立てるという。

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種子島宇宙センターから打ち上げられた「こうのとり」3号機(HTV3)を搭載したH-ⅡBロケット3号機(提供:宇宙航空研究開発機構)