ニワトリの成長促進する遺伝子の型を発見
:農業・食品産業技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は2月20日、ニワトリの成長を促す遺伝子の型を発見したと発表した。江戸時代から質の高い食用のニワトリとして珍重されながら成長力や繁殖力が弱い「比内鶏(ひないどり)」の中でも、食欲を抑制する遺伝子の一部が変異した個体は変異のない個体より成長力が強く平均体重が約1割上回ることを突き止めた。この変異を指標に個体を選抜・育種すれば比内鶏の大型化など、地鶏(じどり)の品種改良につながると期待している。
 研究は、同機構のほか秋田県畜産試験場と福島県畜産研究所で構成した共同研究グループが担当した。
 比内鶏は、秋田県北部を中心に古くから広く飼育されていた地鶏だが、原種は成長が遅く繁殖性や強健性に劣り天然記念物として保護されている。秋田畜試が品種改良した品種が食用として流通しているが、その成長性の改良も遅れていた。
 今回、原種と秋田畜試が改良した比内鶏を掛け合わせて418羽の孫集団を作り、全個体について体重などを測定。同時にそれぞれの遺伝子を解析した。その結果、染色体の一部に成長性に関わる遺伝子が存在し、それが満腹感を感じて体内で食欲を抑える働きをする腸内のホルモン受容体遺伝子であることが分かった。
 さらに、その遺伝子DNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を調べたところ、1塩基だけが他の塩基に置き換わる変異を起こした一塩基多型(SNP)が3タイプ見つかった。この内、1タイプを持った比内鶏は、他のタイプを持つものより平均体重が1割ほど上回ることが分かった。また、福島畜産研の大型会津地鶏についても遺伝子解析したところ、同様の結果が得られた。
 このため、今回の成果は他の地鶏へも応用できるとして、同機構は「今後、SNP情報を用いて比内鶏と大型会津地鶏の選抜育種を進めたい」と話している。

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