土中の放射性セシウム99.7%以上除去できる新技術を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構など

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の中央農業総合研究センターは2月22日、太平洋セメント(株)、日揮(株)、東京電力(株)、(株)太平洋コンサルタントと共同で、農地の土中に含まれる放射性セシウムを99.7%以上除去できる新技術を開発したと発表した。
 放射性物質に汚染された土壌から放射性セシウムを効率的に除去・分離するのは、非常に難しいといわれている。今回の新技術は、その壁を破るもので、土壌に反応促進剤としてカルシウム系の化合物を加え、小型の回転式電気炉に入れて熱処理し、放射性セシウムを効率良く揮発(昇華)させ、その昇華した放射性セシウムをフィルターで捕らえる方式。
 福島県内の実際の汚染土壌を使い小型回転式昇華装置で連続昇華試験を行ったところ、土壌1kg当たり6万ベクレル(放射能の単位)だった放射能を同50ベクレル以下にまで低減できたという。
 建設資材の放射能許容値は、1kg当たり100ベクレルであることから、この新技術で処理すれば処理後の土壌は土木資材などとして使える。
 また、昇華した放射性セシウムは、集塵機で「濃縮セシウム塩」にして回収でき、大気中への放射性セシウムの放出を検出限界(1m3当たり0.1ベクレル)以下できることを確認している。

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フィールド試験に使った小型回転式電気炉(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)