(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月23日、「かにパルサー」と呼ばれる中性子星から吹き出される超高速の「パルサー風」を捉えることに成功したと発表した。 中性子星は、半径がわずか10km程度しかないのに太陽ほどの質量を持つといわれる天体。中性子星「かにパルサー」は、地球からおよそ7,000光年の彼方にある「かに星雲」の中心部にあって、光速近くまで加速された電子と陽電子の風を吹き出していると考えられている。 その超高速の電子と陽電子の風がパルサー風。同機構宇宙科学研究所「インターナショナルトップヤングフェローシップ」の一員であるドミトリー・カングリヤン研究員らは、かにパルサーの周辺で観測した超高エネルギーのガンマ線放射を解析し、それがパルサー風に由来する放射であることを突き止めた。パルサー風の存在を直接的に示したのは、これが初めて。 また、パルサー風がパルサー(数秒以下の周期で電波を発する天体)に極めて近い領域で光速の「99.999999999%(イレブン・ナイン)」もの速度に到達していることも分かったという。 JAXAのインターナショナルトップヤングフェローシップは、世界各国で活躍する優秀な宇宙科学の若手研究者を任期付きで招聘する制度。2009年からスタートし、現在5人が研究にあたっている。 詳しくはこちら |  |
中性子星「かにパルサー」と、その周辺に広がる「かに星雲」(提供:国立天文台/宇宙航空研究開発機構) |
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