(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月31日、同日開かれた宇宙開発委員会に金星周回飛行やり直しを目指して飛行中の金星探査機「あかつき」の現状と今後の運用計画を報告したと発表した。
報告では、我が国初の金星探査機として一昨年10月に打ち上げられた「あかつき」は同年12月、金星周回軌道入りの軌道制御エンジン噴射に失敗したが、昨年11月、姿勢制御スラスターを使った3回の軌道制御に成功、2015年金星会合に向けた飛行を続けており、2015年11月か2016年6月に改めての金星周回軌道入りに挑戦する。
科学観測の観点からは、2016年に赤道面に近い金星周回軌道に投入する方が望ましいが、「あかつき」は現在、当初の想定より太陽に近い軌道を飛んでおり、近日点近くでの搭載機器の温度が上がっている。もし、機器類が長期の運用に耐えられないと判断されれば、2015年の軌道投入となる。2015年軌道投入の場合は、金星の南北極を通る極軌道に近い軌道に乗せないとならない。どちらにするかは、2014年頃までに判断する。
「あかつき」は、重さ約500kgの探査機で2010年5月21日に「H-ⅡA」ロケット17号機で同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げられた。当初計画では、高度300~80,000kmの金星周回長円軌道を飛行しながら、金星全体の気象現象や金星表面を広範囲に調べたり、金星から宇宙空間に逃げ出す大気の観測や雲のクローズアップ撮影など行うことになっている。
No.2012-5
2012年1月30日~2012年2月5日