(独)国立科学博物館は1月31日、日本固有のシダ植物で、すでに野生では絶滅した「シビイタチシダ」の増殖に成功したと発表した。
シビイタチシダが鹿児島県の北部で発見されたのは、1962年。しかし、自生株は、その後見つからなくなり、2007年版の環境省レッドリストに絶滅種として記載され、現存するのは同博物館筑波実験植物園(茨城・つくば市)が栽培する5株だけになったと見られている。
同館は、筑波実験植物園で栽培しているシビイタチシダのDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を解析、栽培株から採集した胞子から次世代の株を育てることに成功した。
胞子から増殖したシビイタチシダは、現在50株以上が順調に育っており、「当面の絶滅の危機は回避された」と同博物館はいっている。
同博物館は、危険分散のため増殖した株を他の植物園などに分譲して系統保存することを計画している。
No.2012-5
2012年1月30日~2012年2月5日