脳のグリコーゲン量、エアロビでも増えることラットで突き止める
:筑波大学

 筑波大学体育系の征矢英昭教授らは1月31日、運動したり頭を使ったりする時のエネルギー源となるグリコーゲンの体内貯蔵量がエアロビクス運動を繰り返すことで脳内でも高まることを突き止めたと発表した。
 筋肉中のグリコーゲン貯蔵量が高まることで持久力が向上することは知られているが、集中力や学習能力などに関係する脳内で同様の現象を確認したのは初めて。運動選手の持久力を高めたり、疲労しにくくしたりするトレーニング法やスポーツ栄養学の実現に役立つものと期待されている。
 脳の中でも筋肉と同じようにグリコーゲンがエネルギー源として貯蔵されているが、脳内ではグリコーゲンの代謝速度が速く、運動時や運動後の回復期のグリコーゲンの量を正確に測定することは困難だった。そこで、征矢教授らの研究グループは、マイクロ波を利用した新しい測定技術を開発、グリコーゲンの変化を測定した。
 ラットに長時間運動させて疲れさせた後に脳のグリコーゲン濃度の時間変化を調べた。その結果、疲労が回復した後に運動前よりも脳のグリコーゲン濃度が高くなるという「超回復」と呼ばれる現象が起きていることが分かった。特に、脳の中で学習や判断など高度な認知機能に関係する大脳皮質と海馬では、運動から24時間後まで高い濃度が維持された。そこで、さらにラットに4週間のエアロビクス運動を続けさせたところ、脳内のグリコーゲン貯蔵量がトレーニング前に比べ明らかに上昇していた。
 超回復は、筋肉ではよく知られた現象で、それがトレーニングにより持久力が高まる理由とされている。脳でも同様の効果が確認されたことで、研究グループは「トレーニングで運動や認知機能のスタミナを向上させられる可能性が明らかになった」としている。

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