(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月12日、「S-520」型観測ロケット26号機を同日午前5時51分に同機構内之浦宇宙空間観測所(鹿児島)から打ち上げたと発表した。同観測ロケットは、計画通り打ち上げ58秒後から順次観測を開始、打ち上げから278秒後に最高点298㎞に達して内之浦南東海上に落下、ロケット打ち上げは成功した。 今回の観測ロケット打ち上げは、熱圏と呼ばれる地球を取り巻く大気の上層部分の中性大気とプラズマの結合過程を解明するのが目的で、JAXA、カナダのカルガリー大学、東北大学、京都大学、富山県立大学、東海大学の担当した9つの観測装置を搭載した。 この内、イオンのドリフト速度は、所定の観測が出来なかったが、それ以外についてはロケットの上昇・下降時を通じ正常な観測に成功。ロケットから放出されたリチウムガスによる赤色雲は、内之浦、宿毛(高知)、室戸(同)の各地上観測所で約30分間にわたって観測され、ロケットのビーコン電波も6つの地上観測点で正常に受信された。 また、このロケットには、新たに開発した観測ロケットの点火や管制、機体計測などを行う「統合型搭載機器管制装置(統合型アビオニクス)」を搭載、飛翔試験を兼ねた実験を実施し正常に機能することを確認した。 S-520型観測ロケットは、旧・宇宙科学研究所(現・JAXA宇宙科学研究本部)が開発した単段式ロケットで、1980年に1号機を打ち上げている。燃料は、固体推進薬の一種、コンポジット推薬。全長8m、直径52cm、全備重量約2tで、重量150kgまでの観測機器類を約300kmの高度にまで打ち上げることができる。
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打ち上げ直前の「S-520」型観測ロケット26号機(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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