特異な性質を持つ新粒子を発見
:高エネルギー加速器研究機構

 高エネルギー加速器研究機構は1月10日、物質を構成する最も基本的な粒子であるクオークを4個以上含む新タイプの粒子を発見したと発表した。最近発見が相次ぐエキゾチックハドロンと呼ばれる粒子の仲間だが、これまでより重いクオークを含むなど特異な性質を持つ。重力や電磁気力など自然界で働く4種類の力のうち、クオーク同士を結び付ける「強い力」が物質の生成にどう作用しているかなどの解明に役立つという。
 発見したのは、国内外の64研究機関で構成する国際研究チーム。同機構の電子・陽電子衝突型加速器による実験で見つけたもので、新粒子は「Zb(ゼット・ビー)」と名付けられた。
 「強い力」は、量子色力学と呼ばれる理論で説明されるが、その理論によるとクオークは単独では存在できず、6種類あるクオークがいくつか集まってハドロンと呼ばれる物質粒子になる。クオークとその反粒子が結合したのが中間子で、3個のクオークが結合したのが陽子や中性子などの重粒子だ。
 新粒子は、4個以上のクオークを含んでいるが、特にクオークの内2番目に重いボトム・クオークを含んでいたほか、正負いずれかの電荷を持つというこれまでにない特徴を持っていた。4個以上のクオークが結合したエキゾチックハドロンは、これまでにも10種類以上が見つかっているが、従来はボトムより軽いチャーム・クオークを含んだものしか見つかっておらず、電荷もなかった。
 研究チームは、今回の成果はエキゾチックハドロンの全貌解明につながるとして、今後更に実験装置を改良して現在の50倍以上のデータを収集、物質がどのようにして宇宙に生まれてきたのかなどの解明に役立てたいとしている。

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