3次元ICなどの放熱特性評価する技術を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は9月26日、3次元IC(集積回路)などに生じる微小なホットスポット(局所高温部)を赤外線ビデオで捉え、素子の放熱特性を評価する技術を開発したと発表した。高密度・高集積化に伴う発熱問題の把握・対策に役立つため、3次元積層半導体デバイスをはじめ次世代高性能電子デバイスの開発を促せるとしている。
 回路を立体的に積層して高密度・高集積化の実現を目指す3次元電子デバイスでは、シリコンチップに生じる短時間の発熱によって局所的に温度が高くなるホットスポットの顕在化が懸念されている。これまでの放熱法では、内側から発生する熱を除去しにくく、放熱が不十分だとトランジスタの特性が変わり、消費電力の増大につながるリーク電流の増加や回路の誤動作発生の恐れがある。このため、3次元デバイスの実用化開発に向け局所の発熱・放熱とその対策を的確に評価できる技術の開発が求められている。
 新技術は、赤外線動画を撮影できるサーモグラフィービデオシステムを、主に薄型半導体チップのホットスポット観察にターゲットをあてて改良、応用したもの。ホットスポットを20μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)以下の高い解像度で検出でき、熱分布の時間変化を60分の1秒の分解能で測定できる。
 従来は、集積回路素子に作り込まれた数点の測定回路により温度データを得ていたため大まかな熱分布評価しかできなかった。新評価技術は、微小領域の過渡的な熱評価ができ、次世代素子の熱設計の検証などへの応用が期待できるという。

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