(独)理化学研究所は10月1日、国際共同研究プロジェクト「国際マウス表現型解析コンソ―シアム(IMPC)」に参画したと発表した。
特定の遺伝子だけを人工的に欠失(ノックアウト)させたマウスのことを「ノックアウトマウス」という。IMPCは、米国国立衛生研究所、英国医学研究評議会、欧州委員会など、世界の有力研究機関・組織で構成され、ノックアウトマウスの全遺伝子(約2万個)の機能を明らかにして世界初の「哺乳類遺伝子機能百科事典」を作成することを目指している。
IMPCは、米国のワシントンで9月29日(現地時間)に発足会議を開き、翌9月30日午前11時(同)に活動計画などを発表したが、理研はマウス作製からマウスの提供まで全面参画するとしている。
特定の遺伝子が関わるヒト疾患のモデル動物として遺伝子操作で対象遺伝子を欠失させたノックアウトマウスを作るには、多くの時間と費用がかかる。そこで2004年、人類共通の財産として全ての遺伝子を1個ずつ欠失させたマウス胚性幹細胞(ES細胞)のライブラリーを作ることを目指す「国際ノックアウトマウスコンソーシアム(IKMC)」が設立され、すでに約1万7千個の遺伝子がノックアウトされ、残るは3千個余りというところまできている。
こうしたことから、それらのES細胞からマウスを作製し、遺伝子機能を明らかにしていくことが次ぎのステップとして求められている。
IMPCは、世界の参画機関が国際分担して、IKMCで開発したマウスES細胞から、マウスを作製し、データベース化し、「哺乳類遺伝子機能百科事典」をモデルマウスにより作るという10年間の国際連携プログラムを推進する。
日本からは、つくば市(茨城)にある理化学研究所バイオリソースセンター(理研BRC)が全面的に参画し、マウスの個体作製などを行い、取得したデータをデータベース化し、IMPCへの受け渡しを行う。IMPCの成果は、Webサイトからデータを即時公開し、誰でも利用できるようにする予定で、遺伝子機能の解明などに大きな貢献をすることが期待されている。
No.2011-39
2011年9月26日~2011年10月2日