(独)物質・材料研究機構と東北大学大学院理学研究科・掛川武教授らの研究グループは9月27日、共同でタンパク質の元となるペプチド(アミノ酸の重合体)を高温・高圧下で触媒を使わずアミノ酸から作ることに成功したと発表した。
使用したアミノ酸は、グリシンとアラニンで、単量体(モノマー)が5個(5分子)結びついた5量体までのペプチドが得られたという。アラニンを触媒を使わず単量体から5量体まで重合した例はこれまでなく、初めて。
生命の起源を探る有機物合成実験によってアミノ酸など単純な有機物の生成機構が少しずつ明らかになってきているが、今回の成果は「タンパク質の元となる物質の生成が原始地球の海底地下で起きていたことを示唆している」と同研究グループはいっている。
実験は、粉末状のグリシン、アラニン各150mgをそれぞれ別々の金カプセルに封入し、物材機構のベルト型超高圧発生装置に装填して1万~5.5万気圧、180~400℃に加圧・昇温し、1~24時間反応させるという方法で行った。その結果、5.5万気圧・250℃・2時間でグリシンの5量体と、アラニンの2、3、4、5量体がそれぞれ得られ、高い圧力ほどペプチドの生成量が多くなることが分かったという。
1万~5.5万気圧は、深さ30~165kmの地底の圧力に相当する。
No.2011-39
2011年9月26日~2011年10月2日