ゲルマニウム基板を他の材料基板上に転写する技術を開発
:産業技術総合研究所/住友化学

 (独)産業技術総合研究所は9月27日、住友化学(株)と共同でシリコンより電子移動度の早いゲルマニウムの高品質な基板を作製、その基板をシリコン(珪素)やガラスなど他の材料基板上に転写する技術の開発に成功したと発表した。この技術は、今後ゲルマニウムをベースにしたエレクトロニクス(電子工学)とフォトニクス(光工学)を融合した新デバイスの開発や機能集積化に活かされると期待される。
 ゲルマニウムは、光素子や太陽電池に使われているばかりでなく、近年エレクトロニクスとフォトニクスを融合する基板材料として注目されている。しかし、単結晶のゲルマニウム基板は、高価で割れ易く、デバイス化に必要な高品質ゲルマニウム単結晶層をシリコンやガラス、プラスチックなどの基板上に作製する新技術の開発が求められている。
 今回の成果は、産総研の基板貼り合わせ技術、デバイス作製技術と住友化学の結晶成長技術を活かすことで得られた。
 新技術は、ガリウムひ素、またはゲルマニウム基板上にアルミニウムひ素層を挟んで高品質なゲルマニウム層を成長させ、その基板を任意の基板に貼り合わせてから、アルミニウムひ素層をフッ酸系溶液で溶かしてゲルマニウム薄膜を剥離、任意の基板上に転写するというもの。ゲルマニウム薄膜を転写し終えたガリウムひ素、またはゲルマニウム基板は、再使用できる。
 この新技術により、エレクトロニクス素子とフォトニクス素子のワンチップ化、太陽電池の軽量化など、従来の技術では難しかった新機能の集積化、多機能化、高性能化などが可能になるという。

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新技術を使ってガラス基板上に転写したゲルマニウム単結晶の薄膜(黒い部分)(提供:産業技術総合研究所)