(独)物質・材料研究機構は3月24日、マグネシウムにアルミニウムと亜鉛を添加、適切な熱処理加工により、結晶粒子がマグネシウムに分散した強くて延伸し易い新合金を開発したと発表した。
展伸マグネシウム合金の欠点である降伏異方性を改善、圧縮応力の作用する箇所にも強く、変形加工が容易になるため、輸送機器用をはじめ様々な構造部材への用途展開が期待されるという。
マグネシウムは、金属材料の中でも最軽量で、埋蔵量も豊富なことから、広く使用され、鉄道車輌や自動車などの分野では車体軽量化による燃費改善を目的とした新たな採用が検討されている。これには、素材の安全性・信頼性が要求され、「強く」て「変形し易い」、いわゆる高強度・高延性素材が求められている。
開発した新合金は、マグネシウムに対して固溶量以上のアルミニウムと亜鉛を添加し、試料の初期微細組織を制御して準安定な組織を形成した。分散した準結晶は、強靭で硬いことから、金属材料の強化粒子として注目されている。
一般的な結晶相と異なり、決まった原子の配置が繰り返し並ぶ構造をしているのが特徴。分散粒子として使用した場合、母相結晶格子とのマッチングが良く、格子同士が強固に結合し、変形中に破壊の核や起点になりにくい。温間二次成形性にも優れ、用途が広がりそうだ。
No.2009-12
2009年3月23日~2009年3月29日