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汗腺機能の発達に8歳ころから男女の差―熱中症の予防対策などに知見を応用へ:新潟大学/筑波大学ほか

(2025年4月21日発表)

 新潟大学と筑波大学、早稲田大学の共同研究グループは4月21日、6歳から25歳の男女457人に発汗誘発剤を投与し、発汗量から汗腺機能を調べたところ、8歳ころから発汗量に性差が認められ、女子よりも男子の方が年齢に伴う発汗量の増加が早く、かつ顕著であることが分かったと発表した。熱中症のリスクや予防を考える上で貴重な資料になるとしている。

 発汗は、熱暑下や運動時などに体内にたまった熱を放散する重要な体温調節機能だが、その機能は成長の過程でどのように発達するのか、男女差はあるのか、大人は熱暑に汗腺機能が高まると報告されているが、子供も同様に季節に適応しているのか、など不明な点が多い。

 研究チームは今回、新潟大学付属小・中学校などの協力を得て、6~17歳の子供405人と18~25歳の若年成人52人を対象に、発汗を誘発する薬剤を経皮的に汗腺に投与して、誘発された発汗量から汗腺機能を年代ごとに評価した。

 その結果、発汗誘発剤に対する発汗反応の性差が8歳ころから認められた。年齢に伴う発汗量の増加は、男子が女子よりも早く、かつ顕著に生じていた。このような年齢や性別による発汗量の差は、主に1つの汗腺が出す発汗量の違いに起因していた。

 汗腺機能を春と夏で比較したところ、男子・女子ともに夏の発汗量が春のおよそ1.5倍に増加、大人だけではなく子どもでも春から夏にかけ汗腺機能が顕著に向上することが認められた。この増加は汗腺密度と汗腺あたりの発汗量の双方に起因していた。

 汗腺の季節適応に関しては子供も大人と同等か、あるいはより顕著に生じる可能性が考えられるとしている。