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“未来の土木現場” アニメ化―ICTで魅力ある職場に:産業技術総合研究所

(2025年6月13日発表)

 こんな土木現場なら私も働きたい。(国)産業技術総合研究所は6月13日、ロボットや仮想現実、人工知能(AI)など最先端のICT技術を駆使して安全で働きやすくなった“未来の土木現場”を伝えるアニメを作成したと発表した。人手不足や高齢化に悩む土木現場にどんな技術を導入すれば、魅力ある労働環境が実現できるかを検討する手掛かりにする狙いだ。

ビジョン動画より抜粋 (提供:産業技術総合研究所)

 作成したのは3分ほどのアニメで、YouTubeで公開した。産総研が建機メーカーのコマツと共同で立ち上げた連携研究室が、土木事業に取り組む13社の経営者と建機オペレーターを対象にインタビュー調査を実施、安全で働きやすい未来の土木現場の姿を探った。

 この調査をもとに、ユーザーの視点から実現を求められる技術を10年間(2023~2032年)の時間軸上に位置づけて技術開発のロードマップを作成、それらの技術が導入された未来の建設現場をアニメとして描いた。3K(きつい、危険、汚い)と揶揄(やゆ)された職場環境に最先端のICT(情報通信技術)を取り入れた未来の建設現場で、楽しく働く若い女性の一日を描いている。

 人手不足から、今後ますます増えるとみられる外国人労働者とも自動翻訳システムで何の支障もなく共同作業ができる。難しい建機の操作技術も、熟練の先輩の技能を学べるスキル伝承プログラムの助けを借りて素早く身に着ける。施行作業の進捗状況の記録・報告も社内SNSで手早く済ませ、友人と約束した会食に向かう。

 産総研はこの動画を土木労働者300人(経験者を含む)に見てもらい、アンケートを実施した。その結果、67%の回答者が「共感できる」と回答、特に30代未満と50代以上の回答者から高い共感が得られたという。

 産総研は、今後この動画を活用することで土木業界の従業員が自分の仕事にポジティブな感情を持ち充実感を抱けるようビジョンを共有、関係者と意見交換を進めて今後の技術開発とその社会展開に取り組んでいきたいとしている。

YouTube動画 「産総研チャンネル」(出典:産業技術総合研究所)