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シアノバクテリアの独自の進化をゲノム解析で発見―遺伝子数が減少、微生物にエサとして「栽培」されていた?:東北大学/筑波大学

(2019年6月25日発表)

オルニトケルクス・マグニフィクス
約0.1mmのプランクトン (提供:中山卓郎)

 東北大学大学院生命科学研究科と筑波大学生命環境系(下田臨海実験センター)の研究グループは625日、光合成で酸素を発生させる微生物シアノバクテリアが、より大きな海洋微生物と密接に共生したため遺伝子の数を減少させるなど、独自の進化を遂げていたことを発見したと発表した。シアノバクテリアは世界中で網羅的に調べられてはいるものの、宿主に共生し隠れているものは発見されていなかった。他にも同様に見逃されているシアノバクテリア系統が存在する可能性もあるとみている。

 シアノバクテリアは植物と同じように光合成をする細菌で35億年〜27億年前から存在し、酸素を海水中に放出していたと考えられている。また単独で生育する系統のほかにも、他の生物と共生する系統があることも知られていたが、調査がされていなかった。

 研究グループは渦鞭毛藻と呼ばれる微生物の一種、オルニトケルクス・マグニフィクス(体長0.1mm程度)に共生するシアノバクテリアの細胞を数個採取し、ゲノム解析した。その結果、これまで知られていなかった新しい系統であることが分かった。

 公開されているゲノムデータを使って、シアノバクテリアがどこでどのように生育しているかを解析したところ、世界中の海に分布しており、常にオルニトケルクスの体内の「王冠」のような部屋に共生していた。

 これまでの一般的な調査では、小さな生物だけを求めて解析する方法がとられていたため、シアノバクテリアの数十倍も大きい細胞のオルニトケルクスは対象から外され、見逃されてしまったようだ。

 共生シアノバクテリアは、単独のものと比べて持っている遺伝子の数が少ないことが分かった。長期間の密接な共生関係によって使われなかった遺伝子が淘汰され、独自の進化を遂げたと予想している。

 これまで、宿主のオルニトケルクスがシアノバクテリアを餌として食していることが知られていた。今回の研究によって、単に摂食するだけでなくオルニトケルクスがシアノバクテリアを餌として、体内の王冠部で「栽培」している可能性もあるとみている。