(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月8日、超高速インターネット衛星「きずな」を使ってEメールの同時多重伝送実験を行ったと発表した。
「きずな」の大容量通信機能を実証する実験の1つとして、七夕の日の7月7日に広く一般から募集したEメール約31,700通を「きずな」に向けて同時に一斉送信し、「きずな」経由で各指定先に届けることに成功した。
「きずな」は、同機構と(独)情報通信研究機構が共同で開発し、2008年2月23日に同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から「H-IIA」ロケットで打ち上げた。超高速双方向通信をCS(通信衛星)の受信アンテナとほぼ同じ直径45cm程度の小型アンテナを使い、だれでも、どこででも行えるようにすることを目指している。
今回の同時多重伝送実験は、それに向けての基本実験の一環として「七夕・宇宙からの星空メッセージ」イベントと銘打って実施したもので、応募者からのEメールを同機構のサーバーで一旦保管し、7日に同機構筑波宇宙センター(茨城・つくば市)に設置した直径1mのアンテナから高度約36,000kmの静止軌道上の「きずな」に向け一斉に送信、戻ってきたEメールを携帯電話会社・プロバイダーを介して各指定先に配信した。ただ、「きずな」に向け発信したEメール約31,700通の中には、「あて先不明」などで不達になってしまったものが約3,300通あったという。
「この実験により、電子メールのような小さな容量のファイルを同時に多重伝送することで、効率的なデータ伝送を可能にし、時間短縮を図れることが検証された」と同機構はいっている。
No.2009-27
2009年7月6日~2009年7月12日