(独)国立科学博物館は7月9日、種子しか残っていない「野生絶滅種」の一種、コシガヤホシクサを自然界で発芽させることに成功したと発表した。
コシガヤホシクサは、ホシクサ科に属す日本固有の単子葉植物(子葉が1枚だけの植物)。最後の自生地だった茨城県下妻市の砂沼で播種実験を進めた結果、数百個体の発芽を確認したもの。
野生絶滅種の野生復帰としては、鳥のトキやコウノトリなどが知られる。国内の植物の野生絶滅種は8種あるが、野生復帰はまだ無く、今回のコシガヤホシクサがこの先さらに野生復帰までいけば希少な例になる。
コシガヤホシクサは、草丈が10~30cmの一年草で、その世界唯一の自生地だった砂沼から姿を消したのが1994年。砂沼は、農業用水の供給池として使われていたが、水の管理方法が変わり、生育できない環境に変わってしまったことが絶滅の原因だった。
コシガヤホシクサ絶滅の原因が、秋に水位を下げなくなったことにあったため、昨年元の水管理方法に戻すことが決まり、同年12月から砂沼での播種実験がスタート、実験区内を詳細に調査し続けたところ、このほど発芽していることが判明した。
No.2009-27
2009年7月6日~2009年7月12日