(独)農業・食品産業技術総合研究機構の畜産草地研究所は6月15日、千葉県畜産総合研究センターなどと共同で、未利用のカンショ(サツマイモ)を活用した高品質豚肉の生産技術を開発したと発表した。研究には、ほかに熊本県農業研究センター、福岡県農業総合試験場、(株)熊本畜産流通センターが参加した。
カンショ畑から出る規格外のカンショやカンショ菓子の製造工程で発生する残渣など未利用のカンショを肥育豚の飼料に使うことに成功したもので、千葉県ではこの飼料で飼育して得た豚肉の生産販売が既に始まっており、熊本県でも準備が進んでいる。
2005年に策定された国の食料・農業・農村基本計画では、2015年までに飼料自給率を35%まで高めることを掲げていることから、これまで飼料原料を輸入穀物に依存してきた養豚も例外でなく、自給飼料資源を活用することが求められている。
また、一方で、国産豚肉の高品質化が求められるようになり、2005年時点で銘柄豚が255件を数えている。
カンショを豚の飼料にすると硬く粘りのある脂肪がついた高品質の豚肉が得られることは、これまでも知られていた。通常の食用カンショでは、コストがかかり過ぎ使いきれなかったが、それを規格外カンショやカンショ菓子生産で出るカンショ残渣に求め解決した。
開発した技術は、規格外カンショやカンショ残渣を集荷して乾燥後、規格外カンショは20%、カンショ残渣は10%の配合割合で肥育豚用飼料に配合。同研究所が開発した飼料中のリジン(アミノ酸の1種)濃度を制御する技術を使ってリジンの濃度が「日本飼養標準・豚」に示される要求量の70%程度になるよう調整するというもの。
このカンショ配合飼料で豚を飼育したところ、硬さと粘りのある脂肪のついた豚肉や、霜降りのある豚肉が得られることが分かったとしている。
No.2009-24
2009年6月15日~2009年6月21日