(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月17日、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本電信電話(株)、フルウチ化学(株)と共同で3cm角という大型の「インジウム・ガリウム・ヒ素単結晶」の製造に成功したと発表した。これだけ大型のインジウム・ガリウム・ヒ素単結晶は、世界でも初めてという。
JAXAがこれまでに行った宇宙実験で得られた知識を活用して加熱温度と濃度勾配を一致させる新たな結晶成長法を考案すると共に、融液の厚みを薄くすることで対流を抑えて結晶化させる技術を開発して実現した。
インジウム・ガリウム・ヒ素単結晶は、次世代半導体材料として注目されているが、研究陣は得られた単結晶で半導体レーザーを作製し、波長1.3μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)帯のレーザー光の点滅信号を光ファイバーで20km離れた遠隔地へ毎秒100億回エラーなしで送る通信実験にも成功した。
インジウム・ガリウム・ヒ素製半導体レーザーは、温度が上がっても出力の低下が少ないため冷却の必要がないことから、次世代の光通信用レーザーとして期待されている。