マツ材線虫病の簡便な新診断法を開発
:森林総合研究所

 (独)森林総合研究所は6月19日、これまでより格段に簡単・迅速なマツ材線虫病の診断法を開発したと発表した。マツを枯らしてしまうマツ材線虫病の診断は、これまで専門の研究機関に頼ってきたが、それを専門的な技術や装置なしに現場で行えるようにした。特許出願中で、6月19日から(株)ニッポンジーンが「マツ材線虫病診断キット」として販売を開始した。
 マツ材線虫病は、マツ枯れ病ともいい、世界四大樹木病害の一つに数えられ、日本では2007年までに青森県と北海道を除く全都府県に広がっている。
 この森林病害に犯されているかどうかを診断するには、枯れたマツから病原体のマツノザイセンチュウを検出する必要がある。しかし、これまでの診断法は、この線虫の形態に関する詳しい知識と顕微鏡などの特殊機器を要するため、診断が行えるのは専門の研究機関に限られていた。
 新開発の診断法は、マツノザイセンチュウのDNA(デオキシリボ核酸)を利用する。枯れたマツから材片を採取、DNA抽出液に浸し、抽出した液の一部を検出液の入ったチューブに加え、目視でその色を見るという方法。液体の色が緑色になれば陽性で、マツノザイセンチュウのDNAが存在することを示し、無色なら存在しない陰性。
 従来の方法で2日間かかった診断が、約90分で完了するという。
 また、マツノザイセンチュウ以外の生物のDNAには、反応しないので、近縁のほかの線虫類を誤同定する恐れもない。

マツ材線虫病にかかっていると左の写真のように緑色の蛍光色を示し、かかっていないと無色になる(右の写真)(提供:森林総合研究所)

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