(独)農業・食品産業技術総合研究機構は12月8日、バイオディーゼル燃料の利用指針を示すため、平成18年度からバイオディーゼル燃料と軽油の混合燃料をトラクターに使い、出力や燃費、排出ガスなどを調査してきたが、軽油と比べて黒煙などの粒子状物質の排出は少ないものの、燃料消費率が高いなど、これまでの成果をまとめ発表した。
同機構の生物系特定産業技術研究支援センターは、今年度からバイオディーゼル燃料100%を用いた場合の部品劣化や性能低下を試験中で、1000時間を目途に長時間運転を行い、出力などの変化を調べ、試験終了後はエンジンを分解して噴射ノズルの摩耗などを調査した。アルカリ触媒法によって精製されたバイオディーゼル燃料100%をトラクター(3気筒水冷4サイクル副室式)に使って、長時間運転を実施し、50時間毎に出力、燃費、排出ガスなどの測定を行った。
その結果、400時間経過時点では、部品の劣化はみられず、試験開始時に比べて性能などにも変化は生じなかった。
バイオディーゼル燃料の精製には、メタノール(メチルアルコール)が使われるが、残留メタノール分が多いバイオディーゼル燃料では、噴射ポンプから噴射ノズルまでの燃料配管中にメタノールの気化が原因と考えられる気泡が発生し、排出ガス特性の変化や出力低下がみられた。これらを改善するには、製造工程で残留メタノールを徹底的に除去することが重要だとしている。
No.2008-48
2008年12月8日~2008年12月14日