(独)農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所は12月12日、東京大学、滋賀県立大学、鹿島建設(株)と共同で、触媒を使わない新しいバイオディーゼル燃料製造法の実証試験に成功したと発表した。 バイオディーゼル燃料は、ナタネ油のような植物油脂や、動物油脂など再生可能な資源から作られるディーゼルエンジン用の石油代替燃料のこと。すでにメチルエステル化法と呼ばれる触媒を使う製造法が実用化されているが、副産物のグリセリンや触媒を除去する複雑な精製工程が必要なほか、製品の純度を高めるのに複数回洗浄を行う必要があるため工程数と廃水量が多くなるという問題を抱えている。 新製法は、「無触媒過熱メタノール蒸気法」といい、高温に加熱した原料の油脂と高温のメタノール(メチルアルコール)蒸気をほぼ大気圧(1気圧)下で反応させ、バイオディーゼル燃料の成分である「脂肪酸メチルエステル」を製造するというもの。触媒を使わないためシンプルな設備構成で製造することができ、原理的に廃水・廃液の発生がほとんどない上に、副産物として純度の高いグリセリンが得られる。 原料として、幅広い品質の廃食油や栽培植物油が使えるのも特徴で、化石燃料の消費削減と同時に廃棄物の廃食油の有効利用が可能になる。 実証試験は、1日当たり500ℓの原料油から同400ℓ以上のバイオディーゼル燃料を連続製造できるパイロットプラントをつくば市(茨城)に建設して行われ、目的のバイオディーゼル燃料の成分である脂肪酸メチルエステルが同425ℓ得られることを確認した。 無触媒過熱メタノール蒸気法によるバイオディーゼル燃料製造の実証試験に成功したのは世界でも初めてという。 今後さらに製造工程・反応条件の最適化を図り、一層の高品質化を実現して実用化を進めるとしている。 詳しくはこちら |  |
パイロットプラントのリアクター(反応塔)部分(提供:食品総合研究所) |
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