月の表側と裏側の重力分布で新たな発見
:宇宙航空研究開発機構/九州大学/国立天文台

 (独)宇宙航空研究開発機構と九州大学、国立天文台は4月16日、月周回衛星「かぐや」と、リレー衛星「おきな」搭載の中継器を用いて行った観測のデータ解析から、月の表側と裏側の重力分布に新しい発見があったと発表した。
 月の重力は一様でなく、地形や地下に存在する物質の密度に応じて、地域ごとにごくわずかな重力の強弱があり、それぞれの地域の重力値から月全体の平均を引いた差を「重力異常」と呼んでいる。
 しかし、月の裏側の重力異常は、これまでほとんど分かっていなかった。それが、「かぐや」による観測で、これまでぼんやりとしか見えていなかった重力異常が明瞭に見えるようになるとともに、アポロ盆地(南緯36度、西経150度、直径500km)のように同心円状の重力分布で特徴づけられることが明らかになった。
 一方、月の表側の盆地は、晴れの海(北緯26度、東経19度、直径880km)のように、一様な重力分布をしていることが分かった。
 このように、月の表側と裏側ではっきりとした重力異常の差が表れたことは大きな発見で、地下の構造や形成の歴史が異なっていたことを表している。
 月の表側と裏側で、地殻の厚さや海の分布に明らかな非対称があることを月の二分性というが、今回の発見は月の二分性の起源の探査にも役立つと期待されている。

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