地震時の地盤の揺れと建築物の揺れとの関係を解析
:国土技術政策総合研究所/建築研究所(2015年11月27日発表)

 国土交通省の国土技術政策総合研究所と(国)建築研究所は11月27日、共同で地震時の地盤の揺れと建築物の揺れとの関係を解析した研究をとりまとめたと発表した。

 海溝型などの巨大地震では、地表の地震動がかなり大きくなることが予想されている。一方、建築物に作用する地震力は、単純に地表面に設置されているより低減される場合のあることが知られている。その低減効果の要因としては、地盤と建築物が互いに干渉しあう動的な相互作用の影響が考えられている。

 今回の研究は、その影響を地盤‐建築物の同時地震観測記録を使って分析したもので、建研の持っている強震観測データと国交省の強震観測網を活用して行った。

 その結果、岩手県沿岸北部で2008年7月24日に発生した地震の解析では、建築物内部の最大加速度が平均で外部の40%程度だったことが分かったとし、「地盤‐構造物の動的相互作用の影響で明らかに建築物への地震入力は低減されている」と結論している。

 地盤‐建築物の同時地震観測は、従来から必要性が強く指摘されていたものの、これまであまり実施されていなかった。「今回の分析結果は、建築物の大地震に対する安全確保のための設計用地震力を検証、評価していく上で貴重な情報になる」と両研究所はみている。

 資料は、国土技術政策総合研究所(URL:http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tn_nilim.htm)あるいは建築研究所(URL:http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/data/167/index.html)からダウンロードできる。

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