環境省と(国)国立環境研究所は11月26日、平成26年度のわが国の温室効果ガス排出量の速報値をまとめ公表した。総排出量は13億6500万t(二酸化炭素換算)で、前年度より3.0%減少した。この4年間、温室効果ガスは一本調子で増加し、前年度には排出量14億800万tを記録していただけに、今後の削減の手がかりが得られそうだ。
■家庭や発電所などの排出量減る
3%減少の内訳をみると、省エネなどが進み電力消費量が減少したことと、再生可能エネルギーの導入・拡大などで電力由来の二酸化炭素(CO2)排出量が4300万t(3.0%)減少した。また産業部門と運輸部門で省エネ化などが進み、エネルギー起源のCO2排出量が減少した。
その一方でオゾン層保護対策として登場した代替フロンは、主にエアコンなどの冷媒や半導体、液晶の製造に使われている。中でもハイドロフルオロカーボン(HFC)は前年比11.5%、2005年比で179%も増えた。特に冷媒分野での増加(前年比12.3%増)が顕著となった。
部門別の前年からの排出量の増減量と比率をみると、工場などの「産業部門」は化学工業と機械製造業で削減が進み、前年から450万t減少(前年比1.0%減)した。自動車などの「運輸部門」では、乗用車の燃費改善と旅客・貨物輸送による排出量が減少し760万t(3.4%)減。商業、サービス、事務所等の「業務その他部門」は、電力消費の省エネ化が進み1380万t(4.9%)減少、「家庭部門」は省エネ機器の普及などで1190万t(5.9%)減に、発電所等の「エネルギー転換部門」は事業用発電、石炭製品や石油製品製造による排出量が減少し720万t(7.3%)減少した。
排出ガス別にみると、産業構造の変化が反映されていることが分かる。前年比50万t減少したメタンは、畜産数の減少で牛のゲップからの排出が減ったことと、稲作農業の減少が影響した。一方で、情報通信機器が急速に普及したことで、半導体・液晶の製造工程で使われるパーフルオロカーボン類(PFC)が8万t増加し、エアコンの冷媒のハイドロフルオロカーボン類(HFC)も370万t増加した。これら代替フロンは温暖化効果が極めて強く、PFCはCO2の約6500倍〜9200倍、HFCは約150倍~1万倍もあり、代替フロンの削減策が産業界の重要な課題になっている。確定値は2016年4月に公表される。