途上国などの超小型衛星を「きぼう」から放出
―国連と協力取り決めを締結、早ければ2017年にも実施
:宇宙航空研究開発機構(2015年9月8日発表)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月8日、国際宇宙ステーション(ISS)に接続している日本の宇宙実験棟「きぼう」から発展途上国などの超小型衛星を宇宙に放出する国際協力を行うことで国連宇宙部と合意し、協力取り決めを締結したと発表した。衛星打ち上げ能力の持たない国々にとっては、さまざまな分野での超小型衛星の利用が可能になるもので、宇宙分野でのわが国の国際貢献に向けた取り組みといえる。

 

■教育や通信、災害の低減など多様な利用

 

 超小型衛星は、「キューブサット」と呼ばれ、世界各国で研究開発が行なわれている。超小型衛星は、低コストで作製が可能で、教育や通信、災害の低減や人材育成など多くの利用例が見られる。

 「きぼう」は、独自のエアロックシステムとロボットアームを持ち、ISSで唯一超小型衛星を宇宙空間に放出する機能を持っている。これまでにすでに国内外の大学、企業などが開発した10機の放出に成功している。

 今回の合意は、1年に1回、大きさが10×10×10cm、重さが1.33kg以下の「1U」と呼ばれているクラス程度の超小型衛星をISSに搭乗するJAXAの宇宙飛行士によって「きぼう」から宇宙空間に放出するというもので、早ければ2017年にも実施する。

 独自の衛星打ち上げ能力を持たない諸国が個々のニーズにもとづいた自前の超小型衛星による宇宙利用が可能になるわけで、すでに30カ国前後が利用に興味を示しているという。

 期間は、2018年9月7日までの3年間。超小型衛星の開発と運用は利用国側が行ない、放出する超小型衛星を決める審査は、JAXAと国連宇宙部が共同で実施する。

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