(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、2005年から約10年の長期にわたって宇宙のX線観測を行ってきたX線天文衛星「すざく」が観測を終えたと発表した。
「すざく」は、2015年6月1日から通信が不良となり、間欠的にしか通信できない状態が続いていた。JAXAは、復旧に取り組んできたが、通信、バッテリー、姿勢制御の状況から科学観測の再開は困難と判断した。
宇宙では、X線を中心に膨大なエネルギーの放射が行なわれている。しかし、宇宙からやってくるX線は、地球を取り巻く大気により吸収・散乱されてしまうため地上では観測できない。それを観測しようと2005年7月10日に「M‐V(ミュー・ファイブ)」ロケットで打ち上げられたのが「すざく」。
以来、「すざく」は、高度570kmで地球を周回しながら搭載する軟X線望遠鏡、硬X線検出器、X線CCD(電荷結合素子)カメラなどにより目標寿命(約2年)を遥かに超えた、約10年間にわたって観測を続け、銀河団の外縁に至るまでのX線スペクトルを初めて測定するなどさまざまな成果をあげてきた。