油井宇宙飛行士がISSでの長期滞在開始
―システム運用や「暗黒物質」観測装置の設置など
:宇宙航空研究開発機構(2015年7月23日発表)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月23日、国際宇宙ステーション(ISS)の第44/45次の交代要員として日本の油井亀美也(ゆい・きみや=45歳)さんら日米露3人の宇宙飛行士を乗せたロシアのソユーズ宇宙船が日本時間午前6時2分、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地からロシアのソユーズロケットで打ち上げられ、同日午前11時45分(日本時間)にISSとのドッキングに成功、長期滞在を始めたと発表した。油井さんらは地球帰還まで約5カ月間、ISSに滞在する。

 

■日本人の長期滞在は5人目、12月に地球帰還

 

 ISSでの油井さんの役目はフライトエンジニア。今回の長期滞在中、油井さんは米国、ロシア、ESA(欧州宇宙機関)、日本のモジュールで構成するISSシステムの運用・維持管理のほか、宇宙のナゾの一つである「暗黒物質」の検出を目指す観測装置の設置やISSでの無重力状態を利用して地上では作るのが難しい新薬につなげる実験など多くの日本の実験や観測を担当する。

 また、この8月中旬にJAXA種子島宇宙センターから打ち上げるわが国の無人物資補給船「こうのとり」5号機のISSとのドッキングに際して、油井さんがISSのロボットアームを操作、接近してくる「こうのとり」を捉える重要な作業を受け持つことになっている。

 油井さんは長野県出身の防衛大学校卒の元航空自衛隊戦闘機パイロットで、テストパイロットの経験もある。日本の宇宙飛行士でパイロットの経験があるのは油井さんを含めて2人だけ。油井さんは2009年2月に歴代最年長の39歳で宇宙飛行士候補に選ばれ、同年3月に自衛隊を退官して宇宙航空研究開発機構(JAXA)入り、2011年7月に宇宙飛行士と認定され、2012年10月に今回のISS長期滞在クルーに選ばれた。油井さんは今回が初の宇宙飛行で、45歳での初宇宙飛行は日本の宇宙飛行士では秋山豊寛さんの48歳、古川聡さんの47歳に次ぐ。

 油井さんの今回の宇宙飛行で宇宙飛行した日本人は1990年の秋山さん以来10人となった。また、ISSでの長期滞在は若田光一さん以来5人目である。今回クルーの打ち上げは5月に予定されていたが、その直前に起きたロシア無人補給船の打ち上げ失敗の影響で打ち上げが約2カ月延期され、ISS滞在期間も当初計画の半年間から5カ月に短縮された。

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