(国)産業技術総合研究所は7月24日、「リチウム-空気電池」の実用化にとって大きな障害の一つだった空気極の過電圧(実測と理論計算上の電圧の差)を大幅に削減できたと発表した。筑波大学、東京大学、南京大学との共同研究。
■障害を克服、実用化に一歩近づく
電気自動車やパソコンなどの電源には現在リチウム電池が使われているが、「リチウム-空気電池」が実用化するとその5倍から8倍の重量エネルギー密度があることから、ポスト・リチウムイオン電池と期待されている。
リチウム-空気イオン電池は、空気中の酸素を電気化学的に利用する。放電の際には、リチウムイオンと酸素が反応し過酸化リチウムになり、1.0V(ボルト)もの過電圧が発生していた。この過電圧によって空気極の炭素や触媒が腐食し、目詰まりなどをおこして放電できなくなる欠点があった。
研究グループは、空気極の充電・放電の反応機構の解明と、過電圧の削減を目的に、空気極に炭素・ルテニウム・二酸化マンガンを用い、微量の水を加えた有機電解液加えると、充電過電圧が0.21Vと約5分の1まで削減し、放電と充電の電圧差が0.32Vに縮まったことを確かめた。問題の過電圧が大幅に削減され、安定して200回の充放電サイクルを繰り返すことができた。