国立研究開発法人農業生物資源研究所(生物研)は4月27日、平成27年度の遺伝子組み換え作物の栽培実験計画を発表した。
栽培実験を行うのは、遺伝子組み換えによってつくったイネと大豆とトウモロコシ。栽培場所は、いずれもつくば市(茨城)内で、イネは隔離圃場(ほじょう)、大豆とトウモロコシは一般圃場を使って行う。
それぞれの栽培実験名とその概要は、次の通り。
▽「複合病害抵抗性イネの栽培」
栽培するのは、生物研が遺伝子組み換え技術を使って開発した、いもち病や白葉枯病など複数の病害に抵抗性を持つイネ2品種。野外で栽培して生育特性、収量特性、複数病害に対する抵抗性などを評価し、多数の系統の中から最も良い形質を持ったものを選抜するのが主な目的。生物研内の隔離圃場3.3a(アール、1aは100㎡)と国立研究開発法人農業環境技術研究所の隔離圃場3.2aで栽培する。
▽「開花期制御イネの栽培」
生物研が遺伝子組み換え技術を使って開発した、開花期を制御できるイネを野外で栽培し、開花制御能を評価する。栽培実験は、農業環境技術研究所内の隔離圃場で5月から来年3月まで行い、その間に越冬性を調べる越冬試験も実施する。
▽「高オレイン酸含有及び除草剤耐性大豆の試験栽培」
遺伝子組み換え技術を使って種子のオレイン酸含有量を飛躍的に高めた「高オレイン酸含有及び除草剤耐性大豆」と呼ばれる遺伝子組み換え大豆がデュポン社(米国)によって開発され、飼料としての安全性評価も終わって商業利用されている。その高オレイン酸含有及び除草剤耐性大豆の派生系統を生物研内の一般圃場1.1aで栽培し、特性を観察、評価する。
▽「害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシの試験栽培」
農薬の世界最大手、シンジェンタ社(スイス)が開発した「害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシ」と呼ばれる遺伝子組み換えトウモロコシを生物研内の一般圃場で栽培し、害虫防除の効果を評価する。