国立研究開発法人物質・材料研究機構は4月28日、「平成27年度文部科学大臣表彰」で同機構の2人の研究員が「科学技術賞」を、1人が「若手科学者賞」を受賞したと発表した。
この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などで顕著な成果をあげた人に対し文部科学省が行なっているもの。
科学技術賞を受賞したのは、同機構元素戦略材料センターの澤口孝宏主席研究員と津崎兼彰招聘研究員で、2人が民間企業との共同研究で進めた研究成果「疲労耐久性10倍の新合金と耐疲労制振ダンパーの開発」が評価された。
地震の揺れを吸収する制振ダンパーは、低コスト、メンテナンス・フリーで使えることから建築構造物の耐震性向上に重要な役割を担っている。受賞した新合金は、優れた制振性能と、従来比約10倍の疲労耐久性を示し、これを用いた制振ダンパーは長周期・長時間地震動などにより繰り返し変形を受けても安定した性能を維持できるという。新合金で作った新型制振ダンパーは、すでに高層オフィスビルに使われている。
若手科学者賞を受賞したのは、高分子材料ユニットの佐光貞樹主任研究員で、「相分離による高分子メソ多孔体の創製と分離機能に関する研究」が評価された。新たなナノ結晶化相分離法を開発、この手法による高分子メソ多孔体は、ガスや液体に対する物質透過や吸着特性に優れることを明らかにした。