(独)国立科学博物館は5月1日、約80年前にハワイに持ち込まれた日本のウグイスが、日本本土のウグイスよりも単純なさえずりをしていることが分かったと発表した。学習によって身につくさえずりは、遺伝的な変化を伴わない変化、いわゆる文化的変化を短期間に遂げることが明らかになったとしている。
■周波数の変化が乏しく単純なさえずりに
ウグイスは通常季節的に移動し、毎年繁殖地で新たな縄張りを築く。その際に雄はさえずるが、さえずりにはなわばりを張るためにライバルの雄を排除したり、雌を誘引したりする機能があり、複雑なさえずりは雄の間での競争や雌の誘引で有利に働くとされている。
日本から持ち込まれて野生化したと考えられているハワイのウグイスのさえずりを科学博物館のチームが調べたところ、周波数の変化が乏しく、さえずりを構成する音の数が少ないなど、単純な構造を持つことが分かった。
こうした単純なさえずりは、一般的に島に生息するウグイスに認められる現象とされている。島ではウグイスが移動せず通年定着しているため、競走が緩やかでさえずりが単純化すると考えられている。
当時の記録や羽の色などから判断すると、持ち込まれたのは小笠原諸島や南西諸島などの島嶼のウグイスではなく、本土のウグイスと考えられることから、さえずりが約80年という短期間で変化したと結論付けられるという。