国立研究開発法人土木研究所は5月1日、同研究所が民間企業と共同開発した鋼構造物の不要の塗膜を取り除く「インバイロワン工法」と呼ぶ新技術が国土交通省の「推奨技術」に選定されたと発表した。
国交省の「推奨技術」は、同省の各地方整備局などが「優れている」と評価した技術の中から同省の有識者会議が毎年選定している制度。土木研の「インバイロワン工法」は、平成27年度の「推奨技術」に選ばれた。
鋼構造物の古くなった不要の塗膜を取り除く従来の技術は、除去する際に塗膜ダストが発生し、その飛散防止対策が不可欠だった。
それに対し、今回「推奨技術」に選定された「インバイロワン工法」は、鋼構造物の除去したい塗膜に剥離剤を塗布し、一昼夜程度放置して塗膜を軟らかくし工具で取り除くという工法で、塗膜ダストが出ず飛散防止対策がいらない。
土木研は、この工法を使えば塗り重ねられた多層の塗膜を一度に除去でき、塗膜ダストが発生しないため、鉛、クロムなどの有害物質を含む塗膜も安全・確実・容易に回収できるとしている。また、類似の技術に比べて火災の危険性が低く、塗りかえ後の塗膜の耐久性が確認されている唯一の技術といっている。