(独)森林総合研究所は3月19日、斜面などからの土砂の流出を防ぐために造られる「治山ダム」の機能を高める方法について大型実験水路を使って見つけたと発表した。
集中豪雨などにより大量の水を含んだ土砂が流れ下る土砂災害は、全国各地で多発し、平成25年の伊豆大島土砂災害、同26年の広島市土砂災害などでは多くの犠牲者が出ている。
今回の成果は、つくば市(茨城)の同研究所にある、わが国最大級の大型土石流実験水路を使った実験によって得られた。実験では、治山ダム背後の堆砂(堆積物)中に含まれる水分を減らすと、治山ダムにかかる圧力が大幅に小さくなることが分かった。
この実験結果から、治山ダム背後の堆砂中の水分を積極的に減らすようにすれば、流下してくる土砂によるダムの崩壊を防止できるとし、「治山ダムを施工する際、治山ダム背後の堆砂内部に排水工(排水路)を導入するなど堆砂内部の排水を促す工夫をすることにより、低コストで治山ダムの機能を高められる」と同研究所。
森林総研は、これから新たに施工される治山ダムの背面に各種のセンサーを取り付けてモニタリングするとともに、堆砂内に簡易排水工を設けその効果を実測するなどの実証的な研究に入っていく計画を進めている。