(独)農業生物資源研究所は10月10日、隔離圃場(ほじょう)を使って今年行った遺伝子組み換えイネの栽培実験の結果を発表した。
このイネは、スギ花粉症の症状を緩和する効果を持つ米が得られるイネの実現を目指して同研究所が遺伝子組み換え技術を使って開発した「7Crp#10」と呼ばれるスギ花粉ペプチド含有イネ。
今年度の栽培実験は、つくば市(茨城)の(独)農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所の高機能隔離圃場を使って実施され、田植えが行われたのが4月23日。栽培は、隔離圃場の周囲に野鳥などによる食害や種子の外部への飛散を防ぐ飛散防鳥網をセットし、この遺伝子組み換えイネと開花期が重複するイネ「はくちょうもち」を「指標作物」として植えたポットを圃場の境界など4カ所に置いて進められた。実ったイネは8月5日に刈り取りを行った。
遺伝子組み換えイネから得られた収穫量は、粗籾の状態で434.6kg。同研究所は、指標作物としてポットで栽培したイネ「はくちょうもち」から収穫した種子12,468粒全てについて「第1種使用規定承認組み換え作物栽培実験指針」に基づく交雑調査を実施し、「交雑粒は0粒で、交雑は認められなかった」としている。
収穫物は、実験室などで籾の状態で保管し、医薬品開発のための試験材料として使用する。