新型静止気象衛星「ひまわり8号」打ち上げ成功
―軌道に乗り来年から運用、画像カラー化で鮮明に
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業(株)(2014年10月7日発表)

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「ひまわり8号」を載せて種子島宇宙センターから打ち上げられる「H-ⅡA」ロケット25号機(提供:JAXA)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は10月7日、気象庁の新型の静止気象衛星「ひまわり8号」を種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)から国産の「H-ⅡA」ロケット25号機で打ち上げ、計画通りの初期軌道に乗せたと発表した。同日午後2時16分に打ち上げられた「ひまわり8号」は10日後に東経約140度の赤道上空約3万6,000kmに静止して新開発機器の機能確認試験後、平成27年から運用開始の予定となっている。

 

■集中豪雨の監視なども

 

 「ひまわり8号」は現在運用されている「ひまわり7号」の後継機である。平成28年に打ち上げて平成34年まで軌道上待機する次の「ひまわり9号」とともに可視赤外放射計(AHI)など最先端の観測機器を搭載、観測回数や解像度を大幅に向上させた新世代といえる静止気象衛星。「ひまわり8号」のAHIは「ひまわり7号」の観測チャンネルが5チャンネル(可視域1、赤外域4)だったのに対して16チャンネル(可視域3、近赤外域3、赤外域10)に増え、可視域の画像は白黒からカラ-になった。

 また、画像の水平分解能も従来の可視1km・赤外4kmから可視0.51km・赤外2kmと、大きく向上した。さらに、これまで30分かかった全球観測時間が10分に短縮され、日本付近は常時2分30秒ごとに観測ができるようになった。

 このような機能強化により「ひまわり8号」は日本と西太平洋域内各国での天気予報は精度が向上、台風・集中豪雨・気象変動などの監視・予測から、船舶や航空機の運航の安全確保に活躍すると期待されている。

 なお、今回の打ち上げ時質量約3.5tの「ひまわり8号」の打ち上げ成功で、日本の主力衛星打ち上げロケットである「H-ⅡA」とその能力向上型「H-ⅡB」による衛星打ち上げは、29回のうち28回成功させ、成功率は96.5%となり、その信頼性が一層高まった。

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