高エネルギー加速器研究機構(KEK)は9月24日、つくば市(茨城)の同機構内にある実験装置「クライストロン」が(独)国立科学博物館の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されたと発表した。
「重要科学技術史資料」登録は、科学技術の発達史上重要な成果を示した科学技術史資料などの保存と活用のため平成20年度から同博物館が認定し、登録証を出している制度。
今回登録されたのは、同機構と(株)東芝が共同開発し、平成14年に製作された世界最大級のUHF(極超短波)帯連続波クライストロン。
クライストロンは、マイクロ波を発生させる真空管のこと。同機構の放射光研究施設などでは、クライストロンで発生したマイクロ波によって電子や陽電子を光速近くにまで加速している。登録になったのは、「508.6MHz(メガヘルツ)、1.2MW(メガワット)連続波クライストロン」と呼ばれる装置で、世界一安定で高出力であることが認められた
同機構は、今回の登録について「未来技術遺産とはいっても、クライストロンはバリバリの現役、多くの改良の余地を残している。関連する技術やノウハウを正しく伝承し、これからも加速器科学発展のために役立てたい」といっている。