ニュージーランドのアルパイン断層掘削開始
―地震発生の理解を目指し深さ1,300mの試料を採取
:海洋研究開発機構/産業技術総合研究所ほか(2014年9月24日発表)

 (独)海洋研究開発機構、日本地球掘削科学コンソーシアム、(独)産業技術総合研究所は9月24日、地震発生の理解に重要なニュージーランド南島西海岸のアルパイン断層の深部掘削を、10月1日から国際陸上科学掘削計画の一環として開始すると発表した。

 

■各国から90人が参加のプロジェクト

 

 アルパイン断層は、平均330年の間隔で大地震を発生させている活動度の高い断層。この断層では地震のたびに水平方向だけでなく鉛直方向にも大きなずれが生じ、南東方向に傾斜した断層の上盤は年間平均9~10mmという速い速度で隆起し、標高3,000mを超える山岳地帯サザンアルプスをはじめとした大自然を作っている。

 このアルパイン断層は、地震発生過程を解明する上で重要な場所になっている。陸域の断層に伴う大地震は多くの場合、塑性流動を起こす領域と脆性的に破壊する領域の境界付近が震源となるが、アルパイン断層ではこうしたところで断層運動を被った岩石が浅部まで上昇しており、その断層試料を直接採取して調査・分析が行える。

 今回は深さ1,300mまで掘削して断層試料を回収、物理検層などを予定している。

 国際陸上科学掘削計画は、地殻変動や環境変動などに関する科学掘削研究の多国間協力プロジェクトで、23か国が加盟している。今回の掘削プロジェクトには日本の12名をはじめ、ニュージーランド、オーストラリア、米国、欧州、カナダから総勢90名が参加の予定という。

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