自動車用小型コネクターの評価装置を開発
―接点部の導電メカニズムをナノスケールで分析
:産業技術総合研究所/矢崎総業(2014年9月25日発表)

 (独)産業技術総合研究所と矢崎総業(株)は9月25日、自動車の電力・信号の伝送を担っているワイヤハーネスに用いられる小型・軽量コネクターの評価装置を開発したと発表した。電気接点の導電メカニズムをナノメートルスケールで分析評価することができる装置で、自動車の高性能化に伴い小型化が求められているコネクターの信頼性確保などに役立つという。

 

■接触荷重と精密な接触電気抵抗を計測

 

 開発した装置は、電子顕微鏡中でコネクターの接触を観察しながら、接触荷重と電気抵抗を同時に計測できるようにしたもの。

 自動車用のコネクター端子にはスズめっきした銅板が用いられている。スズ表面には絶縁体のスズ酸化膜が形成されるが、その厚さは10nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)程度と非常に薄く、スズ酸化膜がコネクターの金属接触や電気抵抗に及ぼしている影響を詳細に把握することはこれまで非常に困難だった。

 新装置は、電子顕微鏡の試料室内にナノメートルスケールで押し込み長さを調整できる高精度のマニピュレーターを組み込んであり、接触荷重と精密な接触電気抵抗を計測できる。

 酸化スズを製膜したスズ基板にタングステンプローブを押し当てて作った圧痕の観察では、酸化スズ膜の割れ目にスズが入り込んで良好な電気接点が作られる様子を確認できたという。

 新装置は今後の小型・軽量コネクターの開発促進に役立つとしている。

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図

左は、酸化スズを成膜したスズ基盤にプローブを押し当てる操作の概念図。右は、走査型電子顕微鏡写真(提供:産業技術総合研究所)