(独)国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は6月25日、東南アジアのパーム油産業の環境対策を進めるため(株)IHI環境エンジニアリング(IKE)と共同研究の契約を結んだと発表した。
パーム油は、アブラヤシの実から得られる植物油。マレーシア、インドネシア、タイで主に生産され、栽培から搾油までの一連の工程で環境負荷を低減する対策が求められている。農園からは、油が採れなくなって伐採されそのまま放置された古木から多量のメタンガスが発生しており、採油工程からは汚濁物質を含む排水が放出されメタンガスの発生が深刻化している。
今回の共同研究契約は、JIRCASの微生物糖化技術とIKEの高速メタン発酵リアクターを結び付け、パーム古木と搾油工程排水の両方を処理し得られるメタンガスをエネルギーとして利用できるようにすることを目指し結んだもので、2014年度中に実証試験をスタートさせ、2016年度までに事業化に向けた詳細を詰めるとしている。
マレーシアとインドネシアには、合わせて約1,000カ所のパーム農園があり、その面積は日本の関東地方の約3倍にもなるといわれることから、まずマレーシアでの事業化を目指し、インドネシアでも展開していきたいとしている。