陸域観測技術衛星「だいち2号」が初の画像
―分解能が向上、夜間や噴煙も透過して撮影
:宇宙航空研究開発機構(2014年6月27日発表)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月27日、陸域観測技術衛星「だいち2号(ALOS-2)」に搭載しているLバンド合成開口レーダー(PALSAR-2)による初の画像を取得したと発表した。画像は、浦安市(千葉)の東京ディズニーリゾート付近や西之島、富士山周辺、南米・アマゾン地域などで、夜間でもくっきり映し出されている。JAXAでは、引き続き初期機能確認試験などを行い、11月旬から一般利用者への提供を予定しているという。

 

■違いがはっきり

 

 「だいち号」は、「だいち」の後継機で5月24日に種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)から打ち上げられた。災害発生時の状況把握や森林の伐採の監視、国土情報の継続的な蓄積・更新、海氷観測など幅広い分野での観測が期待されている。

 塔載しているPALSAR-2は、天候や昼夜の別なく観測できるもので、地殻変動や地球環境の監視に適している。Lバンドの周波数を用いた衛星搭載の合成開口レーダーとしては世界唯一のもの。

 これまで発表された東京ディズニーリゾート付近の写真を比較すると、1992年に打ち上げられた地球資源衛星「ふよう1号」は分解能18m、「だいち」はおよそ10m、今回の「だいち2号」は約3mの分解能で、違いがはっきり。また、2013年11月に噴火により島が出現、拡大した西之島についても、夜間でしかも噴煙をあげているにもかかわらず、噴煙を透過して地表が写し出されており、「PALSAR-2では火山活動の継続的な監視が可能」(JAXA)としている。

 さらに、富士山周辺の植生や「だいち」と「だいち2号」による映像の比較で、アマゾンの森林減少も捉えられていた。PALSAR-2による世界規模の森林観測も可能となり、森林管理などの利用も期待されるという。

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図

上は、千葉・浦安市の東京ディズニーリゾート周辺をそれぞれの衛星が撮影したもの。下は、「だいち2号」が撮影した西之島。夜間・噴煙の条件下でも可視化(提供:JAXA)