ナノ分子材料の自己組織化を自在に制御
―有機エレクトロニクスデバイスの作製に新たな技法
:物質・材料研究機構など6カ国研究機関(2014年6月23日発表)

 (独)物質・材料研究機構は6月23日、日本、ポーランド、オランダ、フランス、イギリス、ドイツの研究者との国際共同研究で、有機エレクトロニクスの主要な材料とされるπ共役系分子の自己組織化を自在に制御できる技術を開発したと発表した。

 

■タイミング・構造・機能など制御

 

 自己組織化させたいπ共役系分子の一部パーツを添加するだけで、自己組織化のタイミングや得られる構造・機能が制御できるというもので、有機エレクトロニクスの部材やデバイスを作製する技法として広い応用が期待できるという。

 国際研究チームが今回開発したのは、π共役系分子の代表例であるフラーレンを素材とした技術。サッカーボール状に炭素が60個つながったナノカーボン材料のフラーレン(C60)に、炭素と水素から成る鎖状の有機分子であるアルキル鎖が枝分かれした分岐状アルキル鎖を結合した化合物「アルキル-C60分子」を作り出した。

 液体状態のこの分子に、それ自身の構成パーツであるC60を添加したところ、自己組織化して多層シート構造を形成、逆にもう一方のパーツであるアルキル鎖を添加したところ球状ミセル(頭部のC60を外側に、尾部のアルキル鎖を内側にして形成された球状の会合体)もしくはファイバー状構造を形成した。得られたこうした多層シート状、あるいはファイバー状の構造物はC60に由来する優れた光導電性を示した。

 研究チームは、パーツを添加すると自己組織化のタイミングや得られる構造体を容易に制御できるこの現象が、共役系部位がC60以外でも起きる現象であることを確認、π共役系分子一般に適用できる自己組織化の新技法であるとしている。

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