高エネルギー加速器研究機構(KEK)は3月10日、平成25年度の高エネルギー加速器科学研究奨励会の「西川賞」を同機構の原田健太郎准教授が、また「諏訪賞」を同機構・小林隆教授が代表を務めるJ-PARC(大強度陽子加速器施設=茨城・東海村)ニュートリノビームグループが、それぞれ受賞したと発表した。
「西川賞」は、高エネルギー加速器の研究で独創的な業績をあげた研究者・技術者に贈られる賞で、原田准教授の「電子蓄積リングにおけるパルス多極電磁石による新しい入射方式の開発」が評価され受賞した。
新入射方式は、入射システムが単純でタイミング調整を一台のパルス電磁石で行えることから世界的に注目され、米国やスウェーデンなどが最新鋭の放射光施設への導入を検討している。
一方、「諏訪賞」は、J-PARCニュートリノビームグループの「世界最高強度ニュートリノビーム施設の実現による電子ニュートリノ出現現象発見への貢献」が評価されての受賞。
ニュートリノには、ミューニュートリノ、電子ニュートリノ、タウニュートリノの3種類とそれぞれの反粒子を合わせた6種類があるとされ、KEKと日本原子力研究開発機構が共同で運営するJ-PARCではミューニュートリノの電子ニュートリノへの転換現象を実証する実験に力を入れ、2011年、世界に先駆けてその転換現象の証拠となる電子ニュートリノの出現を観測している。
この研究成果は、米国「Discovery」誌の「2013年の発見トップ100」の中に入り、「ニュートリノの種類の変化」として66位にランクされている。
No.2014-10
2014年3月10日~2014年3月16日