木造3階建て“模擬校舎”で火災実験結果を発表
―新基準作りへデータ分析
:木造3階建て学校実大火災実験実行委員会

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上は、点火後83分(再着火後63分)、1階北側窓から火炎が噴出し軒まで達した。下は、実験終了後の校舎。倒壊はなかった(提供:国土技術政策総合研究所)

 国土交通省の国土技術政策総合研究所などで構成する「木造3階建て学校実大火災実験実行委員会」は12月24日、岐阜県下呂市で実施した木造3階建て学校実大火災実験の結果を発表した。

 

■温度・熱流などセンサー650カ所で計測

 

 3階建ての学校については建築基準法で耐火建築物とすることが義務付けられているが、平成22年に施行された木材利用促進法などを受けて、一定の仕様等を満たせば準耐火建築物でも建築できるようになった。今回の実験はその基準作りに向けて実施した本実験で、平成24年の予備実験、準備実験に続く3回目の実大火災実験。
 実験に用いたのは、1階に職員室、2~3階にそれぞれ4つの普通教室とオープンスペースなどを備えた建築面積約310㎡、延べ面積850㎡の木造3階建て模擬校舎。天井にはすべて準不燃材料を使用、壁や床には一部を除き木材を使用した。
 実験では、校舎の内外609カ所に温度センサー、41カ所に熱流センサーを設置して計測したほか、校舎内にビデオカメラを18台、外に9台設置。1階の職員室から出火したと想定して点火し、火災の広がる様子を観察した。
 その結果、点火後に燃え広がって火炎が天井に達するものの約10分で自然鎮火。このため点火後20分に燃えて炭化した可燃物を点火点に移動し再着火したところ、最初の点火から約66分(再着火後約46分)で室内温度が450℃まで上昇。その後、窓から火炎が噴出し、約82分(同約62分)後には2階に、約87分(同約67分)後には3階に窓を通して燃え広がった。
 点火後約87分(同約67分)時点から、安全管理のために3階教室に設置した散水設備で断続的に散水しながら実験を続けたが、校舎内部の階段室や防火壁を通じた延焼は起きなかった。155分(同130分)後には消火を開始し、鎮火後も建物は倒壊しなかった。
 今後、この実験で得られたデータの詳細を分析し、基準化に向けた最終的な検討を進める予定という。
 木造3階建て学校実大火災実験実行委員会は、国土技術政策総合研究所のほか(独)建築研究所や早稲田大学、秋田県立大学、さらに企業の三井ホーム、住友林業、現代計画研究所などで構成されている。

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