(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月26日、同機構や米航空宇宙局(NASA)などが国際協力で進める「全球降水観測(GPM)計画」に使う主衛星(GPM主衛星)を2014年2月28日に同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)からH-ⅡAロケット23号機で打ち上げることを決定したと発表した。
■精度が向上、小雨もしっかり観測
GPM計画は、GPM主衛星とコンステレーション衛星と呼ばれる8基の副衛星を打ち上げて地球全体の降水(雨や雪)を一日数回観測しようという国際共同プロジェクト。コンステレーション衛星については、日米のほか、欧州、インド・フランス連合がそれぞれ打ち上げる計画を発表している。
2月に打ち上げるGPM主衛星は、NASAのゴダード宇宙飛行センター(メリーランド州)で組み立てられた日米共同開発品で、重さは3,750kg。JAXAが(独)情報通信研究機構と共同開発した「二周波降水レーダー(DPR)」と、NASA開発の「GPMマイクロ波放射計(GMI)」を搭載している。
DPRは、雨雲を立体的に捉えることができるもので、「雨雲スキャンレーダー」とも呼ばれている。従来の衛星では観測できなかった弱い雨から豪雨まで観測でき、雨滴や雪、氷粒子の大きさやそれらが雲の中でどう分布しているかといった情報まで得ることができる。また、GMIは、13の異なる周波数で降水の分布などを幅広く観測、DPRとの同時観測により、降水や降雪の推定精度を向上させる。また、主衛星による観測とコンステレーション衛星の観測との橋渡しをする。
GPM主衛星は、高度約407kmの低軌道に打ち上げる計画で、設計寿命は3年2カ月。
GPM計画で取得されるデータは、地球科学研究に貢献するとともに、台風の進路予測や天気予報の精度向上に役立つものと期待され、GPM主衛星の打ち上げを2月28日に決めたのも次の梅雨や台風シーズンに備えるためとJAXAはいっている。