単層カーボンナノチューブ量産プラントを開発
―高品質・高純度、製造スピードは従来法の100倍に
:産業技術総合研究所/名城ナノカーボン

 (独)産業技術総合研究所は12月24日、同研究所が開発した単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の製造技術eDIPS法(改良直噴熱分解合成法)を(株)名城ナノカーボンに技術移転し、両者の共同研究により量産向きの工業生産プラントを開発したと発表した。このプラントで生産する高品質、高純度の単層カーボンナノチューブを2014年に研究開発用途の市場に投入し、応用開発を促したいとしている。

 

■市場に投入し応用研究・開発促す

 

 開発した生産プラントは、これまで名城ナノカーボンで製造販売してきた高品質カーボンナノチューブの製造に比べて、製造スピードは100倍に達するという。
 eDIPS法は、化学気相成長(CVD)法の一種。不純物の混入が非常に少なく、ほとんど精製せずに高純度単層カーボンナノチューブを連続合成できるという特長がある。CVD法による単層カーボンナノチューブの製造販売は、国産としては初めてになるという。
 産総研は2006年にこのeDIPS法を開発、これまで複数の企業と組んで製品化に取り組んできたが、高品質製品の市販には至っていなかった。一方、名城ナノカーボンは製品生産にアーク放電法を用いているが、不純物カーボンが混ざり、量産性が劣ることから、それらの解決策を求めていた。
 今回、産総研と名城ナノカーボンは互いの技術やノウハウを出し合って工業生産プラントを開発、このプラントの種々の反応条件を最適化することにより、高純度・高品質の単層カーボンナノチューブを従来の100倍のスピードで生産することに成功した。
 両者は今後、量産化の一層の向上や生産性の効率化を目指すとともに、製品の供給を通して単層カーボンナノチューブの応用開発に貢献していきたいとしている。

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開発した工業生産プラントで合成した単層カーボンナノチューブの塊(左)と比較のスマートフォン。右は、シート状(直径15cm)に加工した高純度(99%以上)の単層カーボンナノチューブ(提供:産業技術総合研究所)